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2026年06月04日

遺言があっても遺産分割がこじれる理由

遺言・贈与
はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。
「遺言を作っておけば安心ですよね?」よくいただく質問です。
確かに、遺言はとても有効な手段です。
ですが正直に申し上げると、遺言があっても揉めることはあります。
なぜでしょうか。

内容よりも伝わり方
例えば「長女に自宅を相続させる」「預金は3人で均等に分ける」形式としては問題がない遺言です。
けれど、他の兄弟にとっては「どうして自宅は長女なの?」「なぜ事前に一言もなかったの?」という疑問が残ることがあります。
遺言は法的な効力は持ちますが、感情の整理まではしてくれません。

理由が書かれていないと誤解が生まれる
実務で感じるのは、理由が書かれていない遺言は誤解を生みやすいということです。
例えば、
・同居していた
・長年介護をしていた
・事業を継いでいる
そうした事情があっても、遺言に一切触れられていなければ他の兄弟には伝わりません。
「えこひいきではないか」「生前に何かあったのではないか」と、余計な想像が広がってしまうことがあります。

想いが見えるだけで空気は違う
逆にこんな一文があるだけで違います。
「長女は10年以上私たちを支えてくれました」「この家を守ってくれたことに感謝しています」たったそれだけで、受け止め方は大きく変わります。
人は金額よりも気持ちに反応します。
完全な平等でなくても「そういう理由なら分かる」と思える余地があれば、話し合いは穏やかに進みやすくなります。

遺言は完成形ではない
遺言は争いをゼロにする魔法の道具ではありません。
むしろ、下記と組み合わせて初めて力を発揮します。
・財産の開示
・家族への事前の説明
・感謝や事情の共有
60代後半から70代、判断力がしっかりしているうちに「なぜこの分け方にしたのか」を言葉にしておく。
それだけで将来の空気はまったく違います。
遺言は財産を分ける道具ではありますが、同時に気持ちを残す手紙でもあります。
その視点を少し加えるだけで、遺産分割はぐっと穏やかになります。