2026年05月22日
介護した人・何もしなかった人、遺留分は同じ?

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。相続や遺言のご相談の中で、とても多く聞かれるのが次の疑問です。
「長年介護してきたのに、何もしなかった兄弟と同じ権利があるのですか?」お気持ちとしては、もっともな疑問だと思います。
実際、介護や生活支援に深く関わってきた方ほど、この点に強い違和感を持たれます。
法律上、遺留分は原則として同じ基準で考えられます
遺留分は、あくまで法律が定めた「最低限の取り分」です。基本的には、相続人という立場に基づいて機械的に算定されます。
つまり、下記のような事情は、遺留分の計算そのものには直接反映されません。
・どれだけ介護をしたか
・どれだけ関わりがあったか
・どれほど苦労したか
この点が、現実の感覚との大きなギャップになりやすいところです。
だからこそ、不公平感が生まれやすい
介護を担ってきた方からすると「何もしてこなかった人が同じ権利を主張するのか」という思いが生じるのは自然なことです。一方で、関わりが少なかった相続人にも「親子である以上、全く権利がないわけではない」という法律の考え方があります。
この両者の感覚のズレが、遺留分トラブルの火種になることが少なくありません。
本来は生前の整理がとても大切な部分です
実務の現場で強く感じるのは、介護や支援の評価は相続が起きてから調整するのがとても難しいということです。相続発生後は、下記のような理由から冷静な話し合いが難しくなりがちです。
・感情が先に立ってしまう
・事実関係の認識が食い違う
・過去の苦労を数字に置き換えられない
遺言で配慮していても、遺留分の問題は残ることがあります
遺言者が「世話になった人に多く残したい」と考えて配分に差をつけたとしても、その結果として他の相続人の遺留分を侵害してしまう場合があります。すると、遺言者の想いとは別に、法律上の調整が必要になってしまいます。
「介護の評価」は法律だけでは解決できません
介護の苦労や家族の支えは、本来とても個別的で数字だけでは測れないものです。だからこそ、遺留分の問題は法律論だけで割り切れない難しさがあります。
あいおい事務所では、こうした場面において単に制度の説明をするのではなく、ご家族それぞれの受け止め方を丁寧に整理することを大切にしています。
相続は「財産の分配」だけでなく「関係の整理」でもあります
遺留分の問題は、誰が正しい・間違っているという話ではありません。それぞれが違う立場で関わってきた結果として生じるものです。
だからこそ、生前の段階での話し合いや、遺言の工夫がとても重要になります。

