2026年06月26日
値下げばかりで利益を失った会社

はじめに
こんにちは!司法書士の清水です。25年間、地域の中小企業の方々と関わってきました。会社設立や役員変更だけでなく、事業承継、資金繰り、社員問題、不動産、相続など、本当にさまざまな相談を受けてきました。
その中で、最近特に感じるのが、「安くしないと仕事が取れない」という空気感です。
確かに今は、物価高、人手不足、競争激化など、経営環境がかなり厳しくなっています。お客様側も価格に敏感ですし、「少しでも安く」という流れは強くなっています。
ただ、その中で、値下げばかりを繰り返した結果、自分たちで自分たちを苦しくしてしまう会社も増えているように感じます。
今回は、「安さ」を追い続けたことで、逆に経営が厳しくなってしまった会社について書いてみたいと思います。
値下げはすぐ効果が出るから怖い
値下げをすると、一時的に仕事は増えることがあります。特に、競合と比較されやすい業界では、「少しでも安い方へ」という流れが起きやすいです。
ただ、ここで難しいのは、値下げはすぐ効果が出ることです。
そのため、「やっぱり安くしないとダメだ」と感じやすくなります。
でも、利益は確実に減っています。
すると、忙しいのに利益が残らない、社員に還元できない、人も増やせない、設備投資もできないという流れになっていきます。
結果的に、会社に余裕がなくなっていくのです。
「安い会社」は、さらに安さを求められる
以前、ある会社の経営者の方が、「昔より忙しいのに全然楽にならない」と話していました。よく聞くと、価格競争に巻き込まれ、どんどん単価が下がっていたのです。
しかも、一度安い会社というイメージが付くと、お客様も「もっと安くならない?」という感覚になりやすいです。
これは本当に難しいところです。
もちろん、価格努力は必要です。ただ、「安さだけ」で選ばれるようになると、今度はもっと安い会社が出てきた時に、一気に苦しくなります。
今の時代、ネットで簡単に比較されますから、安さだけの勝負は終わりが見えなくなりやすいのです。
長く続く会社は価値を伝えている
一方で、長く安定している会社を見ると、単純な値下げ競争をしていないケースが多いです。もちろん、高額という意味ではありません。
「なぜこの価格なのか」をちゃんと伝えているのです。
例えば、「アフターフォローを大切にしています」「地域密着で迅速対応しています」「専門性があります」「丁寧にヒアリングしています」など、価格以外の価値を伝えています。
実際、お客様も本当は「一番安いところ」だけを探しているわけではないように感じます。
「ちゃんと対応してくれるか」「安心して任せられるか」「困った時に相談できるか」
そういう部分を重視している方も多いです。
特に、地域密着型の中小企業は、この信頼が強みになることが多いと思います。
利益は悪ではない
時々、「利益を出すのは悪いこと」と感じてしまう経営者の方もいます。特に真面目な方ほど、「安くしてあげたい」「困ってるから値引きしよう」と考えがちです。
もちろん、その気持ちはとても大切です。
ただ、利益がなければ、社員も守れませんし、会社も続きません。
会社が続かなければ、お客様も困ります。
だから、本来、適正な利益を確保することは、決して悪いことではないのだと思います。
むしろ、「長く続ける責任」の一部なのかもしれません。
選ばれる理由を持つことが大切な時代
今後はますます、人手不足や物価上昇などで、単純な価格競争は厳しくなっていくと思います。だからこそ、「安いから選ばれる」ではなく、「この会社だからお願いしたい」と思ってもらえることが大切になってくるのではないでしょうか。
それは、技術かもしれませんし、人柄かもしれませんし、地域との関係性かもしれません。
実際、長く続いている会社は、価格より信頼を積み重ねている会社が多いように感じます。
忙しいのに利益が残らない。頑張っているのに苦しい。
そんな時は、一度、「安さ」で勝負しすぎていないかを見直してみることも大切なのかもしれません。

