2026年07月05日
「とりあえず分けた」が後悔に変わる遺産分割

はじめに
こんにちは!司法書士の清水です。相続のご相談でよく感じるのが「早く終わらせたい」というお気持ちから、十分に整理しないまま遺産分割を進めてしまい、後から後悔されるケースが意外と多いということです。
相続は精神的にも負担が大きく「揉めたくない」「面倒を長引かせたくない」という思いから、とりあえず分けるという方向になりやすいのですが、その場しのぎの判断が、後々大きな問題につながることがあります。
「平等にしたつもり」が将来の火種になることも
例えば、ご兄弟3人で相続する場合「公平に」という思いから、不動産を3分の1ずつ共有にするケースがあります。その場では「みんな平等だから良いよね」とまとまりやすいのですが、数年後に問題化することが少なくありません。
実際にあったケースでは、横浜市内の実家を3人兄弟で共有にしたものの、その後、一人は売却したい、一人は賃貸にしたい、一人は残したいと意見が分かれてしまいました。
共有不動産は、一人の判断だけでは売却や活用が進められません。
さらに、そのうちの一人が亡くなり、相続が重なったことで権利関係が複雑化し「もう誰がどれだけ権利を持っているのか分からない」という状態になってしまいました。
「今の気持ち」だけで決めると危ない
相続直後は「お母さんがまだ住んでいるから」「今は揉めたくないから」と感情面を優先して判断することもあります。それ自体は自然なことですが、相続は今だけでなく、10年後、20年後も見据えて考える必要があります。
例えば、空き家になったとき誰が管理するのか、固定資産税は誰が払うのか、将来売却したくなったらどうするのか、といった視点が抜け落ちてしまうと、後々負担や不満が積み重なっていきます。
「長男が全部相続」で本当に大丈夫?
逆に「長男が親の面倒を見ていたから」という理由で、深く話し合わずに長男がほとんどの財産を相続するケースもあります。もちろん事情によっては合理的な場合もありますが、他の相続人が十分に納得していないまま進めると、後になって不満が噴き出すことがあります。
相続は法的に正しいかだけでなく、気持ちとして整理できているかもとても大切です。
不動産は分けにくい財産
預貯金と違い、不動産はきれいに分けられないことが多くあります。しかも「思い出がある」「親が大切にしていた」といった感情も入りやすいため、冷静な判断が難しくなります。
そのため「とりあえず共有」という結論になりやすいのですが、実務上は将来困る相続の代表例でもあります。
相続はその後の暮らしまで考えることが大切
遺産分割は、単に財産を分ける作業ではありません。相続後の生活、家族関係、不動産の管理や活用まで含めて考える必要があります。
「今だけうまく収める」のではなく「将来も無理なく続けられる形か」という視点がとても大切です。
あいおい事務所では、単に手続きを進めるだけでなく「この分け方で将来困らないか」「後で揉める可能性はないか」といった点も一緒に整理しながらサポートしています。
相続は早く終わらせることよりも、後悔を残さないことの方が大切だと、日々の相談の中で感じています。

