2026年06月08日
相続で「とりあえず共有」にすると将来どうなる?

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。相続の相談を受けていると、よく聞く言葉があります。
「とりあえず兄弟で共有にしておきました」
その時は揉めることもなく、手続きも比較的簡単なので、不動産を共有名義にするケースはとても多いです。
ただ、実務の現場で感じるのは、「とりあえず共有」が、将来の大きな問題になることも少なくないということです。
今回は、相続で共有にした不動産が、その後どうなることが多いのかを、実際の相談の雰囲気をもとにお話しします。
最初は問題なくても、時間とともに状況が変わる
相続直後は、兄弟の関係も良好で、「とりあえず共有にしておこう」「そのうち考えればいいよね」という雰囲気になることも多いものです。ところが数年、十数年経つと状況は変わります。
例えばこんなケースです。
・実家に住んでいる兄
・遠方に住んでいる弟妹
最初は「兄が住んでいるからそのままでいい」という話でも、時間が経つと
・家が老朽化する
・固定資産税の負担
・売却するかどうか
といった問題が出てきます。
そして、兄弟それぞれの生活環境も変わっていきます。
「売りたい人」と「残したい人」が出てくる
共有不動産の相談でよくあるのが、売りたい人と、売りたくない人の対立です。例えばこんな相談です。
相続した実家を兄弟3人で共有していたケース。
長年空き家になっていたため、一人が「売却しよう」と提案しました。
ところが別の兄弟は、「思い出のある家だから売りたくない」と反対。
さらに別の兄弟は、「固定資産税の負担が嫌だから早く処分したい」と意見が分かれてしまいました。
共有不動産は、全員の意見が一致しないと動かないことが多いため、こうした状況になると話が進まなくなってしまいます。
相続を繰り返すと共有者が増える
もう一つ大きな問題は、相続を繰り返すと共有者が増えることです。例えば、兄弟3人の共有だった場合でも、そのうち一人が亡くなると、その持分はさらに相続されます。
すると兄弟3人→子ども世代6人→さらにその子ども…というように、共有者が増えていくこともあります。
実際の相談でも、「共有者が10人以上になっている」「誰が共有者なのかよく分からない」というケースも珍しくありません。
こうなると、不動産を売却するにも、管理するにも、合意形成がとても難しくなります。
「とりあえず共有」は将来の課題になることも
もちろん、共有にすることがすべて悪いわけではありません。相続の場面では、感情的な配慮や家族関係のバランスから、共有という選択になることもあります。
ただ、実務の現場で感じるのは、共有不動産は時間が経つほど整理が難しくなるということです。
そのため、
・将来どうするのか
・誰が管理するのか
・売却の可能性はあるのか
こうしたことを、早めに家族で話し合っておくことが大切です。
あいおい事務所でも、相続の相談の際には、「今は共有でもよいと思いますが、将来どうするかも少し考えておきましょう」というお話をすることがあります。
共有不動産は、放っておくと複雑になりやすい問題です。
もし、相続で共有になっている不動産がある場合は、今のうちに一度整理してみることが、将来のトラブルを防ぐきっかけになるかもしれません。

