2026年03月16日
介護の偏りが遺産分割をこじらせることがある

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。遺産分割でもめる原因のひとつに、「介護の偏り」があります。
親の介護は、どうしても近くに住んでいる子が中心になりがちです。
通院の付き添い、買い物、入退院の手続き、施設探し…。
時間も労力も、想像以上にかかります。
ところが、その大変さは、離れて暮らす兄弟には見えにくいものです。
「やってきたこと」が共有されていない
よくあるのはこんなケースです。・長女が10年以上、親の通院を支えていた
・仕事を調整しながら、週に何度も実家へ通っていた
・施設入所の手続きや費用の立替えをしていた
しかし、親は「みんなに迷惑をかけたくない」と詳細を話さない。
結果として、他の兄弟は状況を正確に知らないまま相続が始まります。
すると、「みんな平等でいいよね?」「特別扱いはおかしい」という言葉が出てしまうことがあります。
ここで感情がぶつかります。
気持ちが整理されていないと話し合えない
法律上は、寄与分という考え方があります。しかし、実際の現場では、金額の問題だけではありません。
「ありがとうと言ってほしかった」
「分かってほしかった」
その気持ちが満たされていないと、冷静な話し合いは難しくなります。
介護をしていた側は、「苦労を分かってもらえない」と感じ、していなかった側は、
「何をどれだけしていたのか分からない」と感じる。
このすれ違いが、遺産分割を複雑にします。
元気なうちに見える化しておく
では、どうすればよいのでしょうか。親が元気なうちに、
・介護の状況を共有する
・費用の流れを明らかにする
・どの子がどんな役割を担っているか話す
これだけで大きく変わります。
「長女がこれだけ支えてくれている」「遠方の次男はお金で協力している」と親が言葉にするだけで、空気は和らぎます。
60代後半から70代にかけて、少しずつ体力や環境が変わってくる時期です。
まだ判断力がしっかりしている今だからこそ、公平とは何か、感謝とは何かを整理しておけます。
分かっているつもりが一番危ない
兄弟姉妹は、子どもの頃の関係のまま止まっていることがあります。「分かっているはず」「言わなくても伝わるはず」実はそれが、一番危ないのです。
上手に遺産分割を進めるコツは、感情が爆発する前に、事情を共有すること。
介護はお金の問題でもありますが、それ以上に気持ちの問題です。
その気持ちを見える形にしておくことが、将来の家族関係を守る大切な準備になります。

