2026年01月20日
特別受益を主張すると、家族関係はどうなる?〜正論が、必ずしも良い結果を生むとは限らない〜

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。特別受益のご相談の中で、よく耳にするのが次の言葉です。
「法律上は、特別受益として主張できますよね?」
「不公平なので、きちんと計算してほしいです」
お気持ちは、とてもよく分かります。
ただ実務の現場では、特別受益の主張が、そのまま家族関係に影響する場面を何度も見てきました。
特別受益の主張は「間違い」ではありません
まず大前提として、特別受益を主張すること自体は、法律上、まったく間違いではありません。相続人としての正当な権利ですし、不公平感を整理するための制度でもあります。
問題は、どう主張するか、いつ主張するかです。
主張された側は「責められている」と感じやすい
特別受益を主張された側は、「自分が得をしようとしていたように見られている」「親の好意を責められている気がする」と感じてしまうことが少なくありません。本人に悪意がなかった場合ほど、その反発は強くなりがちです。
話題にした瞬間、過去が掘り起こされる
特別受益を持ち出すと、それまで表に出ていなかった過去の出来事が、一気に話題に上ることがあります。「昔もそうだった」「あのときも不公平だった」と、本来は関係のない出来事まで結びつき、話し合いが感情論に傾いてしまうことも珍しくありません。
「正しいこと」と「うまくいくこと」は違う
実務の現場でよく感じるのは、法律的に正しい主張が、必ずしも良い結果を生むわけではないという点です。特別受益を主張した結果、相続は解決したが、兄弟関係が壊れた。
法的には整理できたが、後味が残った。というケースも、残念ながらあります。
それでも主張すべき場合もある
もちろん、すべてのケースで我慢すべきという話ではありません。・金額が極端に大きい
・明らかに不公平な状況がある
・話し合いでは整理できない
こうした場合には、特別受益をきちんと主張し、法的な整理をすることが必要なこともあります。
大切なのは、主張すること自体を目的にしないことです。
主張する前に確認してほしいこと
特別受益を主張する前に、一度立ち止まって考えてほしいポイントがあります。・自分は、何を一番大切にしたいのか
・相続後も、家族関係を続けたいのか
・親の考えを、どう受け止めたいのか
この整理がないまま主張すると、話はこじれやすくなります。
あいおい事務所が大切にしているスタンス
あいおい事務所では、特別受益のご相談の際、「主張できますか?」だけでなく、「主張した場合、その後どうなりそうか」まで一緒に考えることを大切にしています。特別受益は、勝ち負けを決めるための制度ではありません。
家族それぞれが、少しずつ納得できる着地点を探すための手段です。
そのためにも、感情が大きく動く前の段階で、専門家をうまく使っていただければと思います。

