2026年05月25日
通帳管理ができなくなったら後見制度?まず確認したい3つのポイント(完成版)

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。最近よくいただくご相談があります。
「母が通帳の場所を忘れるようになって…」「ATMの操作が難しくなってきて…」「もう成年後見制度を使った方がいいのでしょうか?」
親御さんのお金の管理に不安が出てくると、子ども世代としては本当に心配になりますよね。
「何かあったら大変」「早めに手を打たなきゃ」と、気持ちが焦るのも自然なことだと思います。
ただ実は、通帳管理が怪しい=すぐ成年後見制度が必要とは限りません。
まずは落ち着いて、「今どの段階か」を整理することが大切です。
成年後見制度は「最後の安全装置」
成年後見制度は、判断能力が不十分な方の財産や権利を守るための制度です。そのため一度利用すると、
・家庭裁判所への定期報告
・財産の厳格な管理
・不動産売却などは家裁の許可が必要
・専門職後見人が選ばれることもある
・継続的な報酬負担
といった公的な管理が入ります。
言い換えると「少し心配だから」ではなく「家族だけでは回らない」ときに使う制度なんですね。
【具体ケース】後見を使わずに済んだご家庭
70代後半のお父さまのケースです。・通帳をどこに置いたか忘れる
・何度も残高を気にして電話してくる
・ATM操作が不安
一見すると心配な状況ですが、
・年金や生活費の意味は理解している
・日常の買い物は問題ない
・家族との会話も普通に成立している
という状態でした。
ご家族は「もう後見ですよね…?」と不安そうでしたが、実際には 家族のサポートだけで十分カバーできる段階でした。
結果として、「長男が通帳を預かり、毎月一緒に収支確認をする」という形で落ち着き、成年後見制度は利用せずに今も穏やかに生活されています。
このようなケースは、実はとても多いです。
まず確認したい3つのポイント
私が実務でいつもお伝えしているのが、次の3つです。(1)本人は「お金の意味」を理解できているか?
通帳操作が苦手でも、「これは生活費」「これは年金」と理解できていれば、すぐ後見が必要とは限りません。
(2)家族のサポートでカバーできるか?
・家族が近くにいる
・支払いを一緒に確認できる
・通帳や引き落としを管理できる
こうした体制があるなら、まだ様子見できるケースが多いです。
(3)大きな契約や財産処分の予定はあるか?
・不動産売却
・施設入所契約
・多額の預金解約や名義変更
・相続手続きや遺産分割
こうした「法律行為」が必要になると、成年後見制度が必要になる場面が増えてきます。
※ちなみに、成年後見制度は「財産を守る制度」です。株式投資や投資信託などの積極的な資産運用(投資)は原則できません。資産を増やすための制度ではなく、「減らさないための制度」というイメージが近いです。
焦って制度を使うと、かえって不自由になることも
後見制度を利用すると「家族なのに自由にお金を動かせない」という場面も出てきます。例えば、
・実家をすぐ修繕したい
・定期預金をまとめたい
こうしたことでも後見人の判断や家裁の許可が必要になることがあります。
「安心のために始めたのに、思ったより手間が増えた」という声も、実務では少なくありません。
大切なのは今どの段階かを知ること
通帳管理が心配になったときは「後見する?しない?」ではなく、・今は家族のサポートで足りる段階か
・そろそろ制度を考える段階か
この現在地の確認が何より大切です。
成年後見制度は、必要になったときに使えば本当に心強い制度です。
だからこそ、早すぎず遅すぎず。
迷ったときは、「制度を使う前提」ではなく「今どうするのが一番いいか整理したい」という気持ちで、気軽にご相談ください。
あいおい事務所では、ご家族の状況を一緒に整理しながら、そのご家庭に合った選択肢を一緒に考えています。

