2026年04月02日
まだ判断できるうちに…成年後見制度を「急がなくていい」ケースとは

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。あいおい事務所では、親御さんが認知症と診断された、あるいは物忘れが目立ってきたというご相談を多くいただいています。その際、よく聞かれるのが、「もう成年後見制度を使った方がいいのでしょうか?」というご質問です。
結論から言うと、認知症=すぐ成年後見制度というわけではありません。
むしろ、急がなくてよいケースも多いのが実務の実感です。
成年後見制度は「保護のための制度」
成年後見制度は、判断能力が不十分な方の財産や権利を守るための制度です。そのため、一度利用すると、
・家庭裁判所への定期的な報告が必要になる
・原則として本人の財産は厳格に管理される
・場合によっては専門職後見人が選任され、第三者が関与する
・後見人報酬が継続的に発生する
といった点が生じます。
「安心できる反面、自由度は下がる制度」と言えるかもしれません。
【具体ケース】まだ後見制度を急がなくてよかった例
例えば、こんなご相談がありました。80代のお母さま。軽度の認知症と診断されているが、
・日常生活は自立しており、年金も決まった支出も把握できている。
・通帳と印鑑は長男が預かり、必要な支払いはサポートしている。
このケースでは、
・大きな財産処分の予定がない
・金銭管理も家族の見守りで回っている
・本人の意思確認もまだ可能
という状況でした。
この段階で成年後見制度を利用すると、かえって手続きや制約が増え、家族の負担が重くなる可能性があります。
そこで、このご家庭では「今は使わない」という判断をしました。
「判断できるかどうか」が大きな分かれ目
成年後見制度を急ぐべきかどうかのポイントは、診断名よりも実際に何ができているかです。例えば、
・自分の財産やお金の流れを理解できているか
・契約の意味をある程度把握できているか
・家族との意思疎通が取れているか
これらが保たれているうちは、すぐに後見制度を使わなくても対応できるケースが少なくありません。
「今は使わない」=「何もしない」ではありません
誤解してほしくないのは、成年後見制度を使わないという判断は、何もしないという意味ではないという点です。この時期にやっておきたいのは、
・家族で情報共有をしておく
・財産の全体像を把握しておく
・将来、どこで誰が支援するかを整理しておく
・任意後見や家族信託など、別の選択肢を知っておく
こうした準備が、後々の「慌てない判断」につながります。
成年後見制度は「必要になったとき」に使うもの
成年後見制度は、とても大切な制度です。ただし、早すぎても負担が大きく、遅すぎると選択肢が狭まるという側面もあります。
だからこそ、「今すぐ使うかどうか」よりも、「今はどういう状態か」「次に考えるべきタイミングはいつか」を整理することが重要です。
悩んだときは、「使う・使わない」を決める前の段階で、一度専門家に相談してみてください。
あいおい事務所では、ご家族の状況に合わせて、成年後見制度を使うかどうかも含めて一緒に考えています。

