2026年06月20日
公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらを選ぶべき?〜保管制度も踏まえて〜

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。遺言書のご相談でよくいただくのが「公正証書と自筆証書、どちらがいいですか?」というご質問です。
最近は自筆証書遺言の法務局保管制度も始まり「自筆でも大丈夫なのでは?」と考える方も増えています。
結論から言うと、どちらにもメリットがあり、状況によって選び方が変わります。
そのうえで、保管制度を含めて整理してみましょう。
公正証書遺言の強みは「確実性」
公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。そのため、下記のような点で確実性・安心感が非常に高いのが特徴です。
・形式不備で無効になるリスクがほぼない
・内容が整理されやすい
・原本が公証役場に保管される
特に下記のような場合には、公正証書遺言によって手続きがスムーズに進むケースが多く見られます。
・不動産がある
・相続人が複数いる
・家族関係に配慮が必要
自筆証書遺言+保管制度という選択肢
一方、自筆証書遺言はご自身で作成できるため、下記のようなメリットがあります。・費用がかからない
・気軽に始められる
ここに加わったのが、法務局での保管制度です。
この制度を利用すると、下記のようなメリットがあります。
・遺言書を法務局で保管してもらえる
・紛失や改ざんのリスクが減る
・家庭裁判所の検認が不要になる
以前の「自宅で保管する自筆証書遺言」と比べると、安心感は大きく向上しています。
それでも残る注意点
ただし、保管制度を使ったとしても内容のチェックまではしてもらえない点は重要です。法務局では「形式(書き方)が整っているか」は確認されますが、下記の内容までは見てもらえません。
・内容が適切か
・家族関係に配慮されているか
・トラブルにならないか
実務では「形式は問題ないが、内容があいまいで揉めてしまった」というケースも実際にあります。
つまり、保管制度は安全に保管する制度であって、内容を保証する制度ではないという点は押さえておく必要があります。
「どちらが良いか」ではなく「どう使い分けるか」
ここまで整理すると、・確実性・安心感を重視するなら公正証書遺言
・まずは気軽に始めたいなら自筆証書遺言+保管制度
という方向性になります。
さらに実務では「まず自筆で考えを整理し、その後公正証書にする」という段階的な進め方もよくあります。
あいおい事務所としての考え方
あいおい事務所では単に制度を説明するだけでなく、・ご本人の考え方
・ご家族の状況
・財産の内容
を踏まえたうえで「どの方法が一番無理なく、想いを残せるか」を一緒に考えることを大切にしています。
遺言書は、形式を整えることが目的ではなく、家族が迷わず納得できる形で想いを残すことが本質です。
無理なく始めて、必要に応じて整える
最近は保管制度のおかげで、自筆証書遺言も現実的な選択肢になりました。ただし、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。
最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは一歩踏み出し、必要に応じて整えていく。
あいおい事務所では、そうした段階的な終活の進め方も含めてサポートしています。
迷われている段階からでも、どうぞお気軽にご相談ください。
