実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2026年05月30日

エンディングノートと遺言書はどう違う?

遺言・贈与
はじめに
こんにちは、司法書士の清水です。
エンディングノートを書こうと考えたとき、必ずと言っていいほど聞かれるのが「遺言書があればエンディングノートはいらないのでは?」というご質問です。
実はこの2つ、似ているようで役割がまったく違うものです。
どちらか一方ではなく、それぞれの特徴を活かして使い分けることが大切です。

遺言書は「法律のための書類」
遺言書は、法律上の効力を持つ正式な文書です。
例えば、
・誰にどの財産を相続させるか
・不動産の名義変更の根拠
・相続手続きを円滑に進めるための指定
といった内容を法律に基づいた形で明確にする役割があります。
きちんとした方式で作成しないと無効になる可能性もあるため、形式や内容には注意が必要です。
つまり遺言書は、財産の承継を確実に実現するための「法的な道具」です。

エンディングノートは「想いを伝えるためのノート」
一方、エンディングノートには法的効力はありません。
ですが、その代わりに、遺言書では書ききれないことを自由に残すことができます。
・なぜその分け方にしたのかという気持ち
・葬儀やお墓の希望
・大切にしている人へのメッセージ
・医療や介護についての考え方
・日常の契約や連絡先の情報
こうした内容は、法律の文章では表現しにくいものです。
しかし、残されたご家族にとっては、むしろこちらの方が心の支えになることも少なくありません。
エンディングノートは「手続き」ではなく「人となり」を伝えるものなのです。

どちらか一つでは足りない理由
現場でよくあるのが、遺言書はあるけれどご本人の考えや背景が分からず、ご家族が戸惑ってしまうケースです。
逆にエンディングノートだけを書いていても、相続手続きの場面では正式な根拠にならず、結局あらためて手続きが必要になることもあります。
つまり、
遺言書 → 法律面を支える
エンディングノート → 気持ちや生活面を支える
この両方が揃って、はじめて本当の意味での「安心」につながります。

エンディングノートを書くことで遺言の必要性が見えてくる
実際には、エンディングノートを書き始めたことで「この内容は遺言書にしておいた方がいいですね」と次のステップが見えてくる方が多いです。
いきなり遺言書を作ろうとすると難しく感じますが、エンディングノートは気軽に書き始めることができるため、将来の準備への自然な入口になります。

あいおい事務所では組み合わせを大切にしています
あいおい事務所では、どちらかを勧めるのではなく、その方のご家族関係や財産状況、想いを丁寧に伺いながら「エンディングノートで十分な部分」「遺言書にしておいた方がよい部分」を一緒に整理していきます。
準備とは特別なことではなく、これからの暮らしを安心して続けるためのものだからです。

まとめ:遺言書は骨組み、エンディングノートは
遺言書が人生の設計図だとすれば、エンディングノートはそこに込める想いの部分です。
どちらが大切ではなく、両方があってこそご本人らしいかたちが残ります。
難しく考えすぎず、まずはエンディングノートから始めてみてください。
そこから必要な準備が自然と見えてくるはずです。

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