実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2026年04月24日

認知症が進むと、空き家はどうなる?

不動産関連
はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。
最近、空き家のご相談の中で特に増えているのが、こんなケースです。
「母が施設に入りました。実家は空いたままです」「売却を考えていますが、父の認知症が進んでいて契約ができません」
空き家の問題は、相続だけでなく、判断能力の問題とも深く関わっています。

「まだ大丈夫」が一番危ない時期
親御さんが高齢になり、
・物忘れが増えた
・判断に時間がかかる
・重要な話を避けるようになった
そんな兆しがあっても「まだ契約はできるから大丈夫」と先送りになることがあります。
しかし、不動産の売却や賃貸は、法律上「有効な意思表示」が必要です。
判断能力が十分でないと判断されると、契約自体が無効になる可能性もあります。

施設入所=すぐ売却、とはいかない現実
例えばこんなケースです。
・母が施設に入所
・自宅は誰も住まなくなり空き家に
子どもは「維持費もかかるし売却したい」と考えます。
ところが、母は認知症が進み、売却の意思確認が難しい状態。
この場合、家族が代わりに勝手に売ることはできません。
結果として、
・家は空き家のまま
・固定資産税はかかり続ける
・管理の負担が続く
という状況になります。

成年後見制度が必要になるケースも
判断能力が不十分な場合、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらい、その後見人が売却手続きを行う、という流れになることがあります。
ただし、
・申立ての準備
・審理期間
・売却に家庭裁判所の許可が必要
と、時間と手間がかかります。
「すぐ売りたい」と思っても、すぐには動けないのが現実です。

だからこそ元気なうちの整理が重要
判断能力がしっかりしているうちであれば、
・将来の住まいをどうするか
・家を売る可能性があるか
・誰に任せたいか
を話し合うことができます。
空き家の問題は、実は「元気なうちの準備」で防げるケースも多いのです。

空き家問題は、不動産の問題だけではない
認知症が絡む空き家は、
・法律(契約能力)
・財産管理
・家族の役割分担
・将来の介護費用
といった要素が重なります。
単に「売るか残すか」ではなく、人生設計の一部として考える必要があります。

まとめ:空き家は時間との勝負になることがある
認知症が進行してからでは、できることが限られてしまいます。
空き家を防ぐために大切なのは、
・判断能力があるうちに話す
・将来の可能性を共有する
・手続きの選択肢を知っておく
ことです。
空き家の問題は、実は時間との向き合い方でもあります。

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