実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2026年02月26日

空き家が原因で損害賠償になるケースもある?

不動産関連
はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。
「空き家って、持っているだけなら特に問題ないですよね?」と聞かれることがあります。
実は、空き家は状態によっては所有しているだけで責任を問われる可能性がある不動産でもあります。

空き家でも「所有者の責任」は続いています
不動産は使っているかどうかに関係なく、所有している人に管理責任があります。
例えば、次のようなケースです。
・屋根瓦が落下して通行人にケガをさせた
・老朽化した塀が倒れて隣家を壊した
・庭木が越境し続け、隣地に損害を与えた
こうした場合「住んでいなかった」「知らなかった」では済まされず、損害賠償の問題になる可能性があります。

問題は突然起きることが多い
空き家の怖さは、ゆっくり劣化が進む点です。
普段見ていないため変化に気づかず、台風・大雨・強風といった自然条件をきっかけに一気に問題が表面化します。
久しぶりに現地へ行ったら「雨どいが外れている」「外壁が崩れかけている」「隣から連絡が来ていた」ということも、実際によくあります。

なぜ空き家は放置されやすいのか
空き家が危険だと分かっていてもすぐに動けない背景には、原因があります。
多くの場合、問題は建物ではなく相続や家族関係の整理が止まっていることです。

相続の整理が終わっていない
例えば、
・名義が亡くなった親のまま
・遺産分割がまとまっていない
・手続きを誰も主導していない
この状態では、修繕や解体などの判断ができません。
つまり、空き家の問題は法律手続きの停滞から始まっていることが多いのです。

共有状態が判断を止めてしまう
兄弟で共有したままになっている場合「誰が決めるのか」「費用はどうするのか」が決まらず、時間だけが過ぎていきます。
結果として、管理されない空き家が残ってしまいます。

判断能力の問題が影響することもある
親が高齢で施設に入った後、
・認知症が進行して契約ができない
・売却や活用の判断ができない
といった状況で空き家が固定化するケースも増えています。
これは単なる不動産問題ではなく、法律・財産管理の問題が関係しています。

空き家問題は「建物」ではなく「仕組み」の問題
空き家は、老朽化した建物だけが原因ではありません。
・相続
・共有
・判断能力
・境界や土地の状況
・適正な評価や活用方法
こうした複数の要素が絡み合い、初めて解決の道筋が見えてきます。
だからこそ、一つの専門分野だけでは解決が難しい問題でもあります。

まとめ:空き家は放置すると責任ある不動産になる
空き家は、何もしなければ自然に解決するものではありません。
時間が経つほど、法的整理が難しくなり管理負担が増え思わぬ責任が発生する可能性があります。
大切なのは、問題が大きくなる前に現状を整理することです。
空き家は「使っていない家」ではなく、今も社会の中に存在している資産です。

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