実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2026年07月02日

遺産分割協議書の誤記・漏れで手続きが止まるケース

遺産相続
はじめに
こんにちは!司法書士の清水です。
最近はインターネットで遺産分割協議書のひな型も簡単に見つかるため「自分たちで作ってみよう」と考える方も増えています。
もちろん、それ自体が悪いわけではありませんが、実際にはあと少しのミスで手続きが止まってしまうケースも少なくありません。
相続では、遺産分割協議書は非常に重要な書類です。
内容に誤記や漏れがあると、金融機関や法務局で受理されず、結果としてやり直しになることがあります。

不動産の表示ミスで登記できないケース
よくあるのが、不動産の記載ミスです。
例えば「横浜市○○区○○町○番地」と住所を書いてしまうケースがありますが、不動産は住居表示ではなく、登記簿どおりの所在・地番・家屋番号で正確に記載する必要があります。
実際にあったケースでは、ご家族がインターネットのひな型を参考に協議書を作成し、法務局へ相続登記を申請しましたが「地番の記載が違う」と指摘され、受付が止まってしまいました。
しかも、相続人の一人が遠方に住んでおり、再度押印をもらうのに時間がかかってしまいました。
「ほぼ合っていたのに進まないんですね…」と、とても驚かれていました。

「書いていない財産」が後から出てくる問題
もう一つ多いのが、財産の記載漏れです。
例えば、預金口座を一つ書き忘れていた、証券口座の存在を後から知った、不動産が一筆抜けていたなどです。
その場合、追加で協議書を作り直したり、再度相続人全員の署名押印が必要になったりします。
相続人同士の関係が良好なうちはまだ良いのですが、時間が経つと「またやるの?」という空気になり、手続きが止まりやすくなります。

言葉の使い方一つで解釈が変わることも
遺産分割協議書は、何となく意味が伝わるでは足りません。
例えば「実家を長男が取得する」と書いても、その実家がどの不動産を指すのか曖昧だと、後で解釈の問題が生じる可能性があります。
また「残りの財産は均等に分ける」という表現も、後から新たな財産が見つかった際に揉める原因になることがあります。

押印だけ集めても安心ではない
相続人全員の署名押印が揃っていても、内容に不備があれば手続きは進みません。
逆に言えば「ハンコをもらう前の確認」がとても重要です。
特に相続人が多い場合や、遠方の方がいる場合は、やり直しの負担が大きくなります。
「もう一回押印してください」とお願いすること自体が、気まずさにつながることもあります。

相続は書類作成より整理が大事
相続手続きは、単に協議書を作る作業ではありません。
誰が相続人なのか、財産に漏れはないか、この分け方で将来問題が起きないかなど、全体を整理したうえで書類に落とし込む必要があります。
書類だけを真似して作ろうとすると、どうしても抜けズレが起きやすくなります。

「作ること」より「止まらないこと」が大切
相続では「協議書を作れた」ことよりも「その後の手続きがスムーズに進むか」が大切です。
特に不動産が絡む場合は、相続後の売却や管理にも影響しますので、最初の書類作成がとても重要になります。
あいおい事務所では、遺産分割協議書の作成だけでなく、財産内容の確認や将来の管理・処分まで見据えながらサポートしています。相続は、書類を作ることが目的ではなく、安心して次に進める状態をつくることが大切だと感じています。

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