実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2025年12月19日

兄弟の「昔の関係」が遺産分割に影響する

遺産分割
はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。
遺産分割の話し合いに立ち会っていると、時々感じることがあります。
「ああ、この兄弟関係は、ずっと昔から続いているんだな」と。
相続は、大人同士の話し合いです。
でも実際には、子どもの頃の関係性が顔を出すことがあります。

いつもの構図が再現される
例えば、
・昔から仕切る長男
・我慢してきた次女
・少し距離を取ってきた三男

大人になり、それぞれ家庭を持ち、社会的立場も違うはずなのに、遺産分割の場面では、なぜか昔の構図に戻ることがあります。
長男が強く主張すると、次女は黙り込む。
でも内心では、「また同じだ」と感じているかもしれません。
その積み重ねが、ある瞬間に表面化します。

今回の話ではない不満が出てくる
話し合いが進む中で、「昔からあなたはそうだった」「親はいつもあなたばかり」
そんな言葉が出てくることがあります。
これは、財産の話ではありません。
これまでの人生の話です。
遺産分割は、過去の感情を呼び起こす装置のような側面があります。
だからこそ、単純な法定相続分の問題では済まないことがあるのです。

親にできることがある
では、どうすればよいのでしょうか。
60代後半から70代の親世代だからこそ、できることがあります。

それは、
・兄弟それぞれの立場を理解する
・偏りがあるなら説明する
・感謝を言葉にする

「長男には家を継いでもらった」「次女には苦労をかけた」「三男には心配をかけた」そうした事情を、生前に少しでも伝えておく。
それだけで、将来の誤解は減ります。

平等よりも納得
遺産分割は、必ずしも完全な平等が正解ではありません。大切なのは、納得です。
兄弟それぞれのこれまでの関係や役割を踏まえたうえで、「そういう考えなら分かる」と思えること。
その土台があれば、話し合いは前向きになります。

昔の関係をそのままにしない
「うちは昔からあまり仲が良くない」
そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
だからこそ、何も準備をしないまま相続を迎えるのは、少し危ういのです。

・遺言を書く。
・財産を整理する。
・事情を説明する。

それは、財産を分けるためだけではなく、
昔の関係をそのまま引きずらせないための準備でもあります。
遺産分割は、過去を清算する場ではなく、未来の関係を守る場にできるかどうか。
その鍵は、今のうちの小さな配慮にあるのかもしれません。

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