2026年02月17日
「うちは簡単な相続だから大丈夫」が一番危ない理由

はじめに
こんにちは!司法書士の清水です。相続のご相談を受けていると、とても多く聞く言葉があります。
それが、「うちは財産も少ないし、相続人も限られているから簡単ですよね?」という一言です。
お気持ちはとてもよく分かります。
ただ、25年以上相続の現場に立ってきた実感としてお伝えすると、この「簡単だと思っていた相続」ほど、途中でつまずきやすいのです。
「簡単そうに見える相続」と「本当に簡単な相続」は違う
相続が「簡単そう」に見える理由として、よくあるのは次のようなケースです。・相続人が配偶者と子どもだけ
・不動産は自宅1件だけ
・預貯金もそれほど多くない
・家族関係も悪くない
確かに、条件だけを見ると複雑ではないように思えます。
しかし、相続の難しさは表面に見えている条件だけでは判断できません。
「簡単だから後回し」がトラブルの入口になる
「簡単そうだから、時間があるときにやろう」「今は忙しいから、落ち着いてからでいいかな」こうして相続手続きを後回しにした結果、・金融機関の手続きが想像以上に煩雑だった
・不動産の名義が何代も前で止まっていた
・相続人の一人が途中で意見を変えた
といった問題が、後から次々と出てくることがあります。
特に不動産がある場合、名義が誰になっているか、過去の相続がきちんと終わっているかを確認しないまま進めてしまうと、「簡単なはずだった相続」が一気に複雑になります。
家族関係が良いほど、話し合いが曖昧になりやすい
「うちは仲がいいから大丈夫」これもよく聞く言葉です。実際、関係が良いご家族ほど、
・細かい話をしない
・書面を作らない
・お互いに遠慮する
という傾向があります。
その結果、「そんなつもりじゃなかった」「そういう意味だとは思っていなかった」と、後になって認識のズレが表面化することがあります。
仲が良いからこそ、きちんと形にしておくことが大切なのです。
財産が少なくても、揉めるときは揉めます
「財産が少ないから揉めない」これは必ずしも正しくありません。むしろ、自宅しかない、分けにくい財産しかない、といったケースの方が、「どう分けるか」「誰が住み続けるか」で話がこじれやすいのが現実です。
金額の多寡ではなく、分け方・納得感・これまでの経緯が、相続では大きく影響します。
「簡単な相続」ほど、専門家の視点が効いてくる
専門家に相談するというと、「複雑な相続の人がするもの」と思われがちですが、実は逆です。簡単そうな相続だからこそ、最初に全体を整理することで、無駄やトラブルを防げるというメリットがあります。
・本当にこの進め方で良いのか
・将来問題になりそうな点はないか
・今やっておくべきこと、後でよいことの整理
こうした点を一度確認するだけでも、安心感は大きく変わります。
「簡単だから大丈夫」ではなく「簡単に終わらせるために」
相続手続きは、「大変かどうか」よりも「後悔を残さないかどうか」が大切です。「もっと早く確認しておけばよかった」「一度専門家に相談しておけばよかった」と感じる方を、私はこれまで何度も見てきました。
「うちは簡単だから大丈夫」と思ったときこそ、一度立ち止まって、専門家の目で全体を確認する。
それが、結果的に一番スムーズな相続につながることも多いのです。
