実際の相談事例を元に、様々なお悩みを司法書士清水敏博のコラムでご紹介します。

2025年12月15日

家族信託はどんな人に向いている?後見制度との違いも含めて考える

家族信託
はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。
最近、相続対策のご相談でこんな言葉をよく耳にします。
「家族信託って流行っていますよね?」「とりあえず家族信託をやった方がいいですか?」
銀行や不動産会社から勧められることも増え、家族信託=新しい万能な相続対策のように思われがちです。
ですが、実務の現場に立っていると、向いているご家庭と、そうでないご家庭がはっきり分かれる制度というのが正直なところです。

家族信託は「財産の管理・処分・承継」を託す仕組み
家族信託は、単なる「管理の代行」ではありません。
正確には、財産の「管理・処分・承継」までを家族に託す仕組みです。
たとえば、親が元気なうちに子どもに自宅やアパートの管理を任せ、必要があれば売却や建替えもできるようにし、さらにその先の承継先まで決めておく。
こうした設計が可能になります。
つまり、守るだけでなく「動かす」ことができる。
ここが最大の特徴です。

こんなご家庭には向いています
実際に家族信託が活きるのは、こんなケースです。
・アパートや賃貸物件がある
・将来、売却や建替えを考えている
・親が高齢で判断能力が心配
・子どもが実務的に動ける
たとえば、「認知症になったらアパートが売れず、修繕もできない」
こうした事態を防ぐためには、家族信託は非常に有効です。
成年後見制度では財産は基本的に守ることが中心で、積極的な売却や投資には制約が多いからです。

でも、すべての家庭に必要な制度ではない
一方で、
・財産が預金だけ
・相続人が少なくシンプル
・動かす予定の不動産がない
こうしたご家庭では、遺言や生前贈与で十分なケースも多くあります。
最近は「とりあえず信託契約書だけ作った」「費用だけかかって活用されていない」という相談も実は少なくありません。
制度ありきでは、本末転倒です。

家族信託には「できないこと」もある
ここも大切なポイントです。
家族信託でできるのは財産の管理・処分・承継。
一方で、
・介護契約
・医療同意
・施設入所の手続き
・身上保護
こうした生活面のサポートは対象外です。
つまり、生活面は成年後見制度、財産活用は家族信託、役割が違うのです。

あいおい事務所が家族信託を慎重に提案する理由
あいおい事務所では、家族信託を「商品」のように勧めることはありません。
司法書士を中心に、弁護士・税理士・不動産鑑定士など11の士業が連携するLTRコンサルティングパートナーズ、さらに不動産や暮らしの実務まで支えるオーケストライフとともに、
・そもそも信託が必要か
・遺言で足りないか
・後見制度の方が合うのではないか
・相続後の暮らしに無理がないか
を整理したうえで、本当に合う場合だけご提案しています。
制度よりも、「家族の安心」が先だからです。

大切なのは制度選びより「わが家に合う形」
家族信託はとても良い仕組みです。
ただし、全員に必要な制度ではありません。
「うちの場合、本当に必要かな?」この視点で考えることが、何よりの相続対策です。
制度を選ぶのではなく、家族に合った形を一緒に設計すること。
それが、あいおい事務所のスタイルです。

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