2026年02月26日
家族信託をすると、相続が簡単になるって本当?〜 「楽になる部分」と「そうでない部分」〜

はじめに
こんにちは。司法書士の清水です。家族信託のご相談で、よくこんな期待を込めた質問をいただきます。
「家族信託をしておけば、相続は簡単になりますよね?」
結論から言うと、相続が楽になる部分は確かにありますが、すべてが自動的に簡単になるわけではありません。
今日は、その現実的なところを、実務の視点からお話しします。
家族信託で「楽になる」代表的な場面
家族信託をしていると、相続時に助かる場面は確かにあります。たとえば、
・生前から財産管理の方針が決まっている
・誰が管理・処分するかが明確
・不動産の管理や売却がスムーズ
このように、財産の扱い方が事前に整理されていることは、相続時の混乱を大きく減らします。
遺産分割協議が不要になるケースもある
信託契約の中で、将来、誰に財産を承継させるか、どのタイミングで引き継ぐかが明確に決められている場合、その財産については、遺産分割協議が不要になることもあります。これは、ご家族にとって大きなメリットです。
それでも「相続手続きがゼロ」にはならない
一方で、よくある誤解が、「家族信託をしていれば、相続手続きは一切不要」という考え方です。実際には、
・信託していない財産
・相続税の申告
・信託終了後の残余財産
など、相続として対応すべき手続きは残ります。
家族信託は、相続を「無くす」制度ではありません。
信託内容によっては、逆に複雑になることも
家族信託は、設計次第で結果が大きく変わります。・内容が曖昧
・想定されていないケースが多い
・家族に説明されていない
こうした場合、「相続時に契約書の解釈で揉める」という事態も起こり得ます。
作り方次第で、簡単にも複雑にもなる。それが家族信託の現実です。
「相続が簡単になるか」は目的次第
家族信託の本来の目的は、認知症対策、生前の財産管理、財産承継の設計です。相続が簡単になるかどうかは、その結果として得られる効果にすぎません。
「相続を楽にしたいから、とりあえず家族信託」という発想は、少し注意が必要です。
遺言との組み合わせが、安心につながる
実務上、家族信託+遺言の組み合わせによって、・信託外財産の整理
・万が一の補完
・家族へのメッセージ
を残しておくことで、相続手続きがよりスムーズになるケースが多くあります。
あいおい事務所の考え方
あいおい事務所では、「相続が簡単になりますよ」と、安易な説明はしません。どこが楽になるのか、どこは手続きが残るのか、家族にどんな負担がかかるのかをきちんとお伝えした上で、納得して選んでいただくことを大切にしています。
「簡単」よりも「安心」を目指して
相続は、手続きの簡単さだけで測れるものではありません。・家族が揉めないこと
・気持ちの整理ができること
・将来への不安が減ること
その結果として、「結果的にスムーズだった」と思える形を目指すことが大切です。
